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振袖の思い出

毎年成人式の日が変わるようになったのは何年か前だったような気がする。当然ながら私が成人式を迎えたときは毎年1月15日が成人式だったのだが…。

近所をふらりとしてみると紋付袴姿の男性や、振袖の女性が数人見られた。おそらく皆成人の集いのようなところへ行くのだろう。美容室を覗いてみるとやはり振袖姿の女性が。私もずいぶん前に振袖着たなあ…と懐かしくなった。

成人式を迎える前、私は着物など別に着たいとも思わなかったので振袖など買ってほしいという気もなかった。着物なんて面倒だと思っていたのだ。だからと言って車がほしいなんてことも全くなかった。偶然大学に受かったことでごくごくまじめな大学生をしていた。大学行っちゃっただけで余計な費用がかかるのに着物を買うなんていったらいったいいくらかかるんだよ?と思っていたのだ。さらに成人したからと言って何が変わるの?スーツでも着て親族に挨拶くらいする程度でいいじゃん、と思って過ごしていたのだった。

前の年の秋、両親のどちらかがきもの会社の新聞広告を見つけ、成人式の振袖を一日無料でレンタルするというとんでもない懸賞に応募していたようだ。ところがそれが当選!しかもそれはどの振袖をを着ようと費用は全くかからないという。私は全く着物を着るつもりもないまま仕方なく母に連れられいっしょにきもの会社に出かけたのだった。

もともと着物を着る気がないのだから選ぶのも適当な私。しかし店員さんからは選ぶもの全てにダメ出しが。確かに着ると「似合わねぇ…」「何これ~?」の連続で私はいい加減イヤになってしまった。そんな時に店員さんがある着物を持ってきた。何やら有名な染織の方が作った一点ものの着物だとか。薄いピンク色から全体に絵が入り、かなり多色の色が入りながら上品な感じになる着物。物知らずの私が見てもこれはレンタルなんかで貸せる着物じゃない。「そんな高いのはちょっとなぁ…。」と言う私に店員さんは「どの着物を着てもレンタル料は無料なんですよ。それだったら一生に一度の成人式、このくらいの着物を着てみてもいいんじゃないですか?」と…。

しぶしぶ当ててみたら意外な事に似合う。「あれれ?」と思い他のものも当ててみたがその着物がどう見ても一番似合う。「あらら、これがどうやら一番似合ってるような気が…。」と言うと店員さんは笑った。「まさか一番最初にこれがレンタルで出て行くとは思ってもいませんでした。」とのこと。どの着物を選んでもレンタル無料と言うのはウソではなかった…。私自身もこの着物なら着てもいいと思ったのでレンタルしてもらうことに決めた。

しかし「私が着た後この着物どうなるんだ?」そう思った私は店員さんに「レンタル終わった後この着物はどうなるの?」と聞いてみたのだ。すると思わぬ答えが返ってきた。「これは安く払い下げられてレンタル用として貸衣装屋さんに売却になります。」と。一回人が袖を通しただけでもほとんど値段がつかず払い下げになってしまうのだそうだ。

この時には私自身がこの着物を気に入ってしまっていた。「レンタル後に買い取りってできるの?」と私が発した一言に母も店員さんもびっくり仰天!その後は大騒ぎになってしまった…。母は顔を引きつらせた。最初レンタルでいいと言ったのに「ほしい!」と娘が言うとは思わなかったので手痛い出費を覚悟したのだ。店員さんも呆然としていた。レンタルするつもりだったのに買うとか言われて店員さん一人での判断ができなかったらしい。結局その場では結論が出ず、とりあえずレンタル契約はしてお店を出たのだった。

しばらくしてお店から連絡があり、振袖はレンタル後買い取りという形になり、本来の値段よりはるかに安価で私の手元に来る事が決まった。その値段だと私がアルバイトで多少貯めたお金が出せる。両親は「何てこった…。」と言っていたものの、アルバイトで貯めたお金を超える部分の買い取り分を出してくれたのだった…それは今もありがたいと思っている。

結局着物を着て成人式にのぞむことになった私だった。あんなに着物を着る気がなかったくせに、いざとなったら自分が気に入った着物を着られた事はとてもうれしかったのだ。そして何より驚いたのは着物を着てもほとんど苦しくなく、歩いたりするのも何も問題はなかった。さらに思っていたより着物での動作に支障がなかったこともあり、着物を着ることに対して「面倒だなあ」とか「やだなあ」という気持ちは薄れた。成人式後人間としては私自身特に何が変わったというわけではなかったが、確実に着物が好きになった。

その後も友人の結婚式などでその振袖を2回くらい着た。大学の卒業式も着物を着たし、自分の結婚式でも着物を着た。夏の結婚式が数回あったのでその時は着物を着なかったが、それも夏以外の時期だったら確実に着物で出席したと思う。今もごくたま~にだが着物を着ていたりする。

この振袖をきっかけに着物が好きになるとは思ってもいなかった。世の中何がきっかけで興味を持つかなんて本当にわからないものだ、と思った。

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コメント

和装って、心がキリッとするし、とても素敵だなぁって思います。
ただ、まだまだ身近ではなくって、着付けをしてもらったり、髪の毛をセットしてもらったり・・・と何かとお金がかかるイメージ。
自分でも着付けができればなぁと思ったりもしますが。
良いものって、やっぱりいいですよね。
きっとタピアンさんにお子さんができたら、受け継ぐことができるので、その振袖、本当に宝物になりましたね~(*^_^*)
                  ゆめ

投稿: ゆめ | 2008年1月16日 (水) 14時27分

ゆめさん、こんばんは。
確かに和装って何だか堅苦しく感じますよね。正装となるとさすがに自分では着られないので着付け、美容院となってしまいます。
木綿や麻の着物となれば思ったより安価で入手できますし、自分で手入れもできる上に気楽に着られます。
あとは古着…神経質でなければとにかく安いし着る練習をするにはもってこいです。実は私の場合は古着がほとんど…。それでも一度クリーニングに出すと見違えるほどきれいになる事も多く重宝してます。
親にはとんでもない事をしましたが、良いものは後まで受け継がれると思います。女の子が生まれたら受け継がせてあげたいですね…。ただ何だか似たり寄ったりの性格のが出てきそうなので何とも言えません。「着物なんか着ないよ~だ。」とか言われそうです。

投稿: タピアン | 2008年1月16日 (水) 23時26分

私も、フルートと着物を愛するものです。
この前の発表会では、着物で演奏しました!!
女性音大生とかがよく着る、
浮世離れしたコンサートドレスがどうも苦手なので、
着物にしました。
着物姿はあまりいないし、服装で悩まないしで
一石二鳥です。
おまけに、和風のお習い事と違って、
ここでは訪問着、とか色無地、とかいう
ドレスコードがないので、
自由に選べるのもいいです。
でも、お金だけが問題です・・・

投稿: か | 2008年10月22日 (水) 10時32分

かさん、こんばんは。はじめまして。
訪問いただきましてありがとうございます。
確かにコンサートドレスも、なかなかこれというものがないですよね。着物でフルート演奏と言うのも悪くないと思うんですよね。
ただ、本当にいいものをと思うと値段が張るのは事実ですよね。私は古着専門で、新しいものは木綿系が主という感じです。今はおなかが丸いので着物をうまく着れませんが、家にいるしばらくの間はまた着物着られるようになれば、と思います。

投稿: タピアン | 2008年10月22日 (水) 19時31分

古着専門なのですね。
 さがせば、銘仙、大島紬あたりで華やかなのがあるかもしれません。
 私はオーソドックスな着物専門で、やっぱり小紋、色無地あたりが好きなんです。(すきなスタイリストは森田空美さん系です。)
「きもの記念日」というムックがありまして、そこにはいまどきな着こなしがのっています。「記念日2」のほうは、美波がレトロ調の着物をきて、銀ブラをしています。
 

投稿: か | 2008年10月24日 (金) 11時08分

かさん、こんばんは。
銘仙や大島紬ですか…そこまでのものは持っていないんですよ。やはりいいものは古着だってそれなりにしますものね。いつか貯めておいたもので買えればいいなとは思っています。
着物を着たままで掃除も洗濯も料理もベランダいじりもとなると、やはり汚れても自分で洗える綿だの、ウール中心になってしまうんですよね…。恐ろしい話ですが綿やウールはどんどん自分で洗ってます…。
きもの雑誌のように粋に着るのもよし、古典的に着るのもよし、ですが、しばらくは普段着でもそもそということになりそうです。

投稿: タピアン | 2008年10月26日 (日) 21時42分

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