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さゆりさん

数年前に購入したパールのフルート、このフルートに今日つけた名前が「さゆり」さんだ。

正式には「小百合」さん。何でこんな事になったかというと、それは今日のフルートのレッスンでの出来事がきっかけだった。

しばらく練習がおろそかになっていたこともあり、私はまた力いっぱいフルートを吹くようになってしまっていた。しかし強く吹いている割に音が飛ばないのだ。レッスン前半は吹いていて肩がこり体ががちがちに、音を吹き続けるとかすれてきてしまう。それを見ていた先生は一言こう言った。

「タピアンさんがイメージしている音と、楽器が出せる音にズレが出ているような気がします。最近のタピアンさん、力強い派手な音を無理に出そうとしているように思えるんですが・・・。その楽器を購入した時の事を思い出してみてください。確かタピアンさんは優しい音が出るのが気に入ってその楽器を選んだはずですよね。」

「確かにそうでした・・・。」

「その楽器はそんなに派手な音は出せないはずです。派手な音は出ませんけど芯のある優しい音が出せる、そんな楽器のはずですが。女優さんで言ったら・・・吉永小百合さんのイメージの楽器と言ったらいいかな・・・。決して華やかなわけではありませんけど、存在感がある音が出せるはず。それをイメージしてほしいんですよね。」

先生、すごいこと言うなあと思いつつ楽器を買った時の事を改めて思い返してみた。何本も楽器を吹いていて気がついたのは、華やかでキラキラした音がする楽器が多いなあということだった。その中で一つ、音は地味だが穏やかな音が出る楽器があった。それが今私が手にしている楽器だった。

そうだった、私が吹きたかった穏やかな音が出たのがこの楽器だったんだ・・・私が吹きたかった音、目標としていた音はそこにあったんだ。それを私は忘れていて違う方向へ進もうとしていた。今もいい音で吹きたいと思っているが、どこかで「いい音」に対してイメージが変わっていたかもしれない。

「じゃあ、この楽器『小百合さん』って名前つけておこう。」と言うと、先生は「それはいいかも!」と言いさらに付け加えた。

「実はタピアンさん、力を入れなくてももう十分音が出ているんですよ。それをさらに強く吹こうとしてますが、もうその必要はなくなっているんです。次は力を抜いて優しい音へ近づけていくだけです。息の圧力、方向、口の形、おなかの使い方、全てをその楽器が得意とする音を考えながら吹くことで、いい音が出てくると思いますよ。」

自分でもびっくりした。もう大きな音で吹くことをそんなに意識しなくてもよくなっていたんだ。じゃあこれからはもう音の質を考えていくのが重点になるってことなんだと痛感した。そしてこの楽器に出せる、いや、この楽器にしかできない音を、さらに私らしい音を出すための訓練が必要になるんだ。

先生の話では、「芯のある穏やかな音」が出る楽器を持っている生徒は今のところ私だけだという。それだけでも発表会では差がつき、全く違う表現ができるのだそうだ。

そんなに自己主張しなくともしっかり自分が表現できればそれはそれでいいのだ。そう考えたらレッスン後半からはウソのように力が入らなくなり、音がすっかり変わってきれいになってしまったのだそうだ(先生談)。

目標としていたきれいな優しい音に少しずつ近づいていきたい。私自身はとてもじゃないが吉永小百合さんのようにはなれない。しかし、吉永小百合さんを素敵だと思ってはいる。自分ができない分フルートの音だけは吉永小百合さんをイメージするような音が出せるようになりたいものだと思った私だった。

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フルート」カテゴリの記事

コメント

「小百合」さんですか。

凛として涼やかで、それでいて優し気な、そんな音色のフルートなのでしょうね。控え目であっても、しっかりと「自分」というものがあり、それ故、「自分」に合わない強い吹き方をされると、拗ねてしまい、音が飛ばなくなる…と言うところでしょうか?なんて、わかったようなことを言ってスミマセン^^;。

本当にフルートもさまざまですね。最近は大音量でガンガン鳴る楽器が多いと聞きます。そんな中では貴重な存在かもしれませんね。

タピアンさんの目標とする音に近づけるよう、「小百合」さんと共に頑張ってくださいね。応援していますよ!

投稿: はるな | 2007年6月17日 (日) 11時34分

はるなさん、こんにちは。
私の技術の問題で今まだその音色がしっかり出せていない部分が多いのですが、確かにしっかりと「自分」を持った楽器だということは吹いていて感じてはいました。しかも息の当たる位置も許容範囲がかなり狭い楽器なのだそうです。今はアルテスも途中下車して音質改良訓練中の私でした。
現在は大音量で華やかな音が鳴る楽器が人気が高いようで、実際先生の生徒さんでもほとんどがこのタイプを使っているといいます。今回の発表会では偶然にもその楽器の特性が生かせる曲を吹く予定なので、ちょっと気合入れていこうと思います。

投稿: タピアン | 2007年6月17日 (日) 12時31分

命名「さゆりさん」おめでとうございます!
漢字より平仮名の方が柔らかく感じますね?

フルートの音って、声と一緒で自分では骨伝導とかの影響もあってか、第3者が聴くのとは違って感じるんですよねぇ・・・

自分では響かせて吹いているつもりでも、「自然に響く」感じより「無理に鳴らしている」感じだったり・・・ホント難しいですよね!?

そういえば生まれて初めて自分の録音された声を聴いた時、「俺ってこんな声なの?」と愕然としたのを覚えています。(私は自分の声が嫌なのです・・・)
自分のフルートの音も一度でいいから客席で聴いてみたいものです(無理!)

投稿: piccolo | 2007年6月18日 (月) 06時09分

piccoloさん、こんばんは。
思わぬ名前がついた私のフルートでした。確かにひらがなの方がやわらかい感じがしますね。
フルートの音、自分で吹いている音がどんなものかを判断するのは思った以上に難しいです。最近音が出るようになったと思っていたものの、「無理に鳴らしている」ような音だったとは…自分の耳で聞いた時にほわほわと聴こえてあまり響かない時の方がいい音が出ているみたいなんですよ。最近それがはっきりわかるようにはなってきました。

自分の声ですか…私の声はでかいのに低くて場合によってはどすが効いているんだそうです。仕事で高齢の方と話すとき「高い声は大きくされても思ったより聞こえにくいのよ。」と言われた事があり低めに大きく話すようにしていた結果です。

自分の声もフルートの音色も幽体離脱して聴けたら楽しいですよね。

投稿: タピアン | 2007年6月22日 (金) 20時13分

あ~なんだか目頭が熱くなりました。
タピアンさんとフルートさゆりさんとの出会い、
先生のフルートに対する深い愛情とタピアンさんへの熱意、
そして、自分でも知らない間に羽ばたいていたタピアンさん。
ああ、いいなあ。すごくジーンとします。
素晴らしい先生ですよ、本当に。
いつかタピアンさんとさゆりさんの演奏、聴いてみたいです。

投稿: アキ | 2007年6月25日 (月) 11時20分

♪アキさん、こんばんは。
このフルートと出会うまで何本も楽器を…と書きましたが正確には20本ほど吹きました…。初心者だったくせに何と図々しいことだったかと思いますが、先生からの一言でその時の事をはっと思い出しました。
先生は本当にフルートが好きなんでしょう。生徒のフルートの特性まで考えながらレッスンをしていたとは考えが及びませんでした。脱帽です。
私ですか?羽ばたいてはいないんですけど、第一段階を超えてはいたようですね。現在第二段階の最初の方をうろうろしている感じです。
いつの日か人前で楽しく吹けるまでになりたいものです。
 

投稿: タピアン | 2007年6月25日 (月) 22時38分

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